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東西文化が息づく嘉義
「むかしむかし巨大なウナギが河口をふさいだため川が氾濫
した。人々は玉山へと逃れたが、大きなカニの助けによって
再び大地が姿を現した」--これは先住民ツォウ族に伝わる
洪水伝説だが、阿里山を背に川の氾濫と開拓とを繰り返しな
がら発展してきた嘉義の歴史がそのまま反映されているとい
うのだから面白い。
大航海時代以降は、先住民の他、中国東南部から移民して
きた漢人によって豊かな耕地が切り開かれ、貿易により東西
文化の往来が盛んとなった。
また日本統治時代には西洋文化と美術教育がもたらされ、台
湾近代絵画を代表する画家・陳澄波をはじめ、多くの芸術家が
誕生した。
さて、日本統治時代の嘉義といえば、
2014
年日本でも公開
され話題となった台湾映画「KANO」を抜きに語ることはでき
ない。嘉義農林高校の野球部が甲子園初出場で準優勝を果た
す話だが、異なる民族がそれぞれの長所を活かして栄光をつ
かむ姿を描いたこの作品にも、土地のもつ多様性を見ること
ができる。
そんな嘉義の地にアジア全体の文化の流れを重ね合わせ
る、それが故宮南院のテーマといえる。
陶磁器を通して俯瞰するアジア
流れるような曲線が交じり合う建築は、中国書画の技法を用
いて表現したアジア三大文明の融合を表す。
たとえば特別展「藍白輝映」の部屋では、はるかなるシル
クロードを伝って中国から西アジアと陶磁器が行き交う中で
生まれたコバルトブルーの彩色が、中国の景徳鎮にて中国磁
1
Entrance of the Southern Branch of the National Palace Museum.
2
The
Jadeite Cabbage with Insects.
3
Central Asia – Prairie Color, permanent
exhibition area.
4
Boldness of Forms and Colors, Asian textiles area.
5
The Southern Branch of the National Palace Museum was designed by
architect Kris Yao.
1
故宮南院エントランス。
2
翠玉白菜。
3
常設展の一部。中央アジアの織物。
4
精緻で艶やかな織物ー院収蔵アジア織物展。
5
設計は建築家・姚仁喜による。
Globular vase with dragon de-
sign in underglaze blue, Ming
dynasty, Yongle reign.
明代の永楽・青花龍紋天珠瓶。
器を代表する技法の一つ「青花」へと昇華され、日本の染付
やベトナムの安南焼へと連なってゆく過程が見事に表現され
ている。
また他に、大阪の東洋陶磁美術館と故宮博物院による華麗
なる美の競演にも目を向けてみたい。ヨーロッパの王室でも
珍重された「伊万里焼」、宋代の青磁技術に加え装飾技法に
おいて独自のスタイルを確立した「高麗青磁」と、中国陶磁
器とはひと味違う美しさをも再発見できる。
台北から嘉義まで、新幹線で約
1
時間半。仏像・陶磁器・染
織物・玉器・茶文化という多様な収蔵品を通して、無数の人
々の手を渡りながら進化してきたアジア文化の大きなうねり
を、感じてみるのはいかがだろうか。
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