1-4
Cherry duck is delicious served
in a soup, as
nigiri sushi
, or on its
own.
5
At Hexing Ranch in Yilan,
ducks roam freely on its spacious
farmland.
1-4
スープも良し、ローストもまた
良し。チェリーバレー種の味には多
くの美食家も魅了される。
5
合興牧
場のアヒル。外でのびのび育つ。
台
湾のローストダックの名店の多くでは、「桜桃鴨」と呼ば
れるチェリーバレー種のアヒルが使われている。雲林、花
蓮、宜蘭がその三大産地であるが、中でも宜蘭産のものが最
も珍重されている。それはなぜか。
シェフや美食家を魅了する味
台北からバスに揺られること
40
分。雪山トンネルを抜ける
と、いきなり抜けるような青空と田園風景が広がる。宜蘭の
位置する蘭陽平原は、台湾でも有数の米どころであり、と同
時に桜桃鴨の故郷でもある。
もともとは英国のチェリーバレーから輸入された品種であ
るが、そのルーツをさらに遡れば、「北京鴨」、すなわち北
京ダックに行き着く。したがって、かつては「北京鴨」の呼
称で台湾の市場では流通していた。しかし、この数年間、養
鴨家たちによるブランド刷新の努力もあって、今では「桜桃
鴨」の名前がすっかり定着している。
脂身が多く肉厚で、肉汁たっぷりのこのアヒル肉は、洋の
東西を問わず、多くのシェフや美食家を唸らせてきた。とり
わけ、これもまた宜蘭産の甘くて香りの高いブランドネギ
「三星葱」を配した桜桃鴨のローストダックは、まさに黄金
の組み合わせであり、間違いなく台湾グルメの最高峰の一つ
に数えられるだろう。
絶品は大地と人が育てる
宜蘭県三星郷の「合興牧場」で
20
年にわたり養鴨業を営ん
でいる黄明杰さんを訪ねた。元獣医の黄さんの育てる「桜
桃鴨」は、五つ星ホテルの御用達であり、日本にも輸出さ
れるなど高評価を得ている。
黄さんに養鴨の秘訣を訊ねるとこう答えてくれた。「ここ
のアヒルは人が育てるのではなく、大地が育ててくれる
のです」。黄さんのアヒルたちは、広大な敷地の中で
実に伸び伸びと暮らしている。そして、太平山から吹
き下ろす冷たい風がアヒルの食欲を増進させ、雪山山
系に源を発する蘭陽渓の清冽な澄んだ水がアヒルの健
康を支えている。こうした自然に近い生育環境に加
え、ニンニク粉や酵素を飼料に混ぜ込むなど、アヒルの
抵抗力を高める工夫もされている。また黄さんは、アヒルた
ちが野犬に襲われないよう、夜も巡回を怠らない。
宜蘭という土地の恵みは確かに大きい。だが、育てる人
の細やかな心遣いがあるからこそ、絶品の桜桃鴨が生まれ
るのであろう。
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