Atayal textile artist Yuma Taru keeps traditional weaving techniques
alive while introducing aboriginal motifs and patterns into
mainstream fashion.
タイヤル織物に魅せられて
TEXT、PHOTOS/謝ひかり(HIKARI HSIEH)
TribalTextiles
タ
イヤル族の布は美しい。
いかなる人たちがどんな材料と技法を用い、何の用途に使
ったのか。それを知ることができれば、さらに深く、その美
しさを味わうことができるだろう。
タイヤル族の血を引き、失われつつあったタイヤル織物を
蘇らせた作家のスタジオを訪ねた。
公務員から転身、染織の世界へ
台北から南西に車で
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時間半。苗栗県と台中市との境に横たわ
る川「大安渓」の上流に向かって車を走らせると泰安郷に入
る。台湾先住民族の中で
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番目に多いタイヤル族の村が、数多
く点在するエリアだ。
元来、世襲的な階級の差を持たないのがタイヤル族の特色
である。男は勇猛さを、女は織物の上手さを競い、優れたも
のほど美しく自分を着飾ることができた。かつてはビンロウ
樹や薯榔(シューラン)と呼ばれるツル植物の根で染めた糸
が主だったが、
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世紀に化学染料が登場して以降、紋様や色
彩はより複雑かつ鮮やかとなる。
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