中
国大陸にくい込むように位置する金門島。その地理的関
係から長らく軍事管制下に置かれ、各種開発からは取り残
されてきた。その分、島には手つかずの自然と伝統集落が
残り、独自の風習や文化が形成されている。
南洋の影響を受けた独自の建築スタイル
金門島の面積は
153
平方キロ。ちょうど小豆島と同じ程度の大
きさだ。そんな小さな島にもかかわらず、古蹟や伝統家屋が
数多く残り、その密度は台湾で最も高いといわれている。近
年は金門国家公園(国立公園)により、伝統家屋の保存や整
備が積極的に進められている。
金門の伝統家屋は福建地方南部のスタイルをベースに、洋風建築の
影響を受け、独自の様式となっている。これは金門が清朝末期に南洋
華僑を数多く輩出したことに関係している。かつて島民は貧しさから
逃れるため、シンガポールやマレーシアなど東南アジアへと渡ってい
った。彼らは成功を収めると、南洋で見てきた洋館を模倣しながら郷
里に屋敷を建てたという。その代表格が島の南西部、水頭村にある「得
月楼」だ。ここは
1931
年にインドネシア華僑によって建てられた邸宅
ྡ˪ā˪
ࡑ
Գ̦e
TOPPHOTO GROUP
e
IMAGE TAIWAN
Kinmen’s
Nanyang Houses
Taiwan’s offshore island of Kinmen is known for its eye-catching
family mansions, many of which are a fusion of traditional Fujian
architecture and foreign decorative elements.
TEXT/片倉真理(MARI KATAKURA)
美しい建築美が残る
金門島の伝統集落
1
Kinmen
ژږ
Taipei
̨̏
66
enVoyage
Taiwan
Insights