enVoyage - page 75

Bamboo pendant
竹のリングを組み合わせたア
クセサリー/陳桂美・作
Lacquered bamboo basket
漆を塗った竹かご/
李栄烈・作
Combination ceramic/bamboo
vase
陶器と竹を組み合わせた花器/
林秀鳳・作
へ大きな期待を語ったという。それから間もなく台南と南投
にそれぞれ「竹細工芸伝習所」が置かれ、技術訓練がはじま
ると共に、地元民の多くが竹の生産・加工を生業にするよう
になり、竹工芸は地域産業として発達していく。
南投で竹工芸が盛んな理由はもうひとつある。「国立台湾
工芸研究発展センター」の存在だ。多彩な工芸の研究・展示
のほか、職業訓練校のような性格をあわせ持つ公立の施設だ
が、台湾で最高レベルの教師陣がそろっているのが特色だ。
伝承、そして、新たなる挑戦へ
「国立台湾工芸研究発展センター」で教える李栄烈老師は
1936
年生まれ。
18
歳で学び始め、竹との付き合いは
60
年を越
える。その間、竹に漆を用いることで強度と美しさを加える
「籃胎漆器(らんたいしっき)」の技法を習得、今年つい
に、台湾の人間国宝となった。緻密さと力強さが備わる作品
は茶器や家具など多岐にわたり、「こんなものを作りたいと
いう気持ちに従ってきた」という言葉に、創作の喜びがあふ
れる。
林秀鳳老師は竹と出会って
45
年。台湾の竹編技法をまとめ
た本も多く出版し、台湾竹文化の保存と伝承に努める守護神
のような存在だ。
ファッションに竹を取り入れたのは陳桂美老師。独自の技
法で編まれた球を組み合わせたアクセサリーやドレスは、フ
ランスでも展示された。
台湾の風土と交じりあい新たな表情をみせて進化していく
竹工芸は、その土地に根をはるたくさんの、静かなる情熱に
よって支えられている。そんなことを感じた南投への旅であ
った。
Vase made from bamboo strips of different
thicknesses
太さの異なる竹で編まれた花器/林秀鳳・作
Bamboo woven bag
竹編の美しいハンドバッグ/林秀鳳・作
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